初心者のためのクラヴマガの基本

2024.06.23

クラヴマガの基本 4つの分野

初心者が身につけるクラヴマガの基本は(1)姿勢と構え・動き方 (2)打撃 (3)護身 (4)グラウンド の4つで、すべての分野でしっかり身につける必要があります。

基本はゆっくり大切に

クラヴマガは軍向け、警察向け、一般人向けといった3つの分野が存在しますが、習得に要する期間はそれぞれ異なります。
 
軍や警察は職務に必要なことだけを極力短期間で身につけることが求められるため、短期間です。それに利点はありますが、身体への負担は大きく運動強度もケガのリスクも高いため、強靭な体力と回復力が必要です。
 
一方で一般人はというと、日常生活と両立して取組むものです。クラヴマガは安全・健康の両面で様々な利益をもたらしまし、終わりはありません。ある意味ライフワークとして取り組むものといってもいいでしょう。
 
一般の方のトレーニングは1回あたり1~2時間、平均的には週1~2回でしょう。一般人の肉体回復時間を考えると、そのくらいがケガのリスクも低く、また着実に上達できます。

それだけに一般人こそ基本が大切です。決して焦らず、基礎を固めましょう。見た目が派手な技を早くやりたい気持ちを抑え、基本の習得に集中しましょう。

(1)構えと動き方

全ての基本は姿勢と構え、そして前後左右への動き方です。基本的な動き方は日常生活には無い動きです。決して軽視してはいけません。
 
相手との距離やバランスを保って動くことは簡単ではありません。普通の方であれば足はもつれ、バランスを崩し、不利な体勢に陥りいます。


構えや動き方の基本を動画で確認↑

 

格闘技の達人ですら毎日この基本の反復は欠きません。
基礎がしっかりしていれば、その上には何でも積み重ねることができます。

(2)打撃

次に学ぶべきは打撃とそれへの防御です。打撃とその防御はセットで同時に学ぶべきだと思います。例えばストレートパンチを習ったら同時にストレートパンチの防御を習う、といった感じです。


パンチの基本を動画で確認↑

 

打撃を打ててもそのディフェンスを知らなければ、実戦では使えません。クラヴマガは護身が目的です。防御を学ばずに攻撃だけ学ぶのは本末転倒です。だから、何の打撃であれ、打撃とその防御は一緒に学ぶび、互いに補完し合う関係性であることを理解します。


パンチの防御を動画で確認↑

 

打撃で共通して意識すべきは、身体の体重をターゲットに伝え、同時に打った後もバランスを保つことが大切です。打撃のあとにバランスを崩すと逆に状況は不利になります。
 
また相手との距離感が重要です。パンチにはパンチが当たる距離、肘うちには肘うちの距離など、それぞれの技によって有効な距離が異なります。
 
初心者はまず、相手と近い距離で使えるパンチや肘うち・ハンマーパンチといった、上半身の打撃から取り組みましょう。
 
その次に下半身の攻撃(=キック)を防御とセットで学びます。下半身の攻撃は、上半身の打撃より距離が遠い時に使うものであり、放った後にバランスを保つのはより困難です。


フロントキックを動画で確認↑

 
これらの距離感を自然に把握できるようになるまで練習しましょう。

(3)護身

次は護身です。護身で最初に取り組んで欲しいのは、
・リストリリース(手首を掴まれた時)
・ベアハグ(抱きつかれた場合)への護身
・基本的なテイクダウンに対する防御
 
です。シャツを掴まれた場合の離脱も含まれます。
 
つまり掴まれたとき、抱きつかれたとき、倒されそうになった時の離脱を護身の基本と定義しています。


リストリリースを動画で確認↑

 
日本でも十分起きうる危険ですので、その離脱方法から始めるのは実践的です。掴まれた時とは危険の初期段階であり、ここで離脱できれば、状況は悪化しません。地面での馬乗りへの対処を学ぶ前に、まずは倒されない護身を優先します。
 
また、これらの基本技術は強く掴まれたグリップを外すという技術を含み、首絞めやグラウンドでの護身など、より難しい状況への対応に応用ができます。また倒れないように重心を低く保ち踏ん張ること(=テイクダウンに対する防御)は、どんな危険のシーンでも必要です。


テイクダウンの防御を動画で確認↑

 
これらの基本に集中し、ある程度圧のかかった中でも離脱できるようになることを優先しましょう。

(4)グラウンドで身につけること

(3)で倒される前に相手から離れることの大切さを強調しましたが、それでも地面に倒されてしまうこともありえますので、グラウンドも想定しないといけません。
 
初心者がまず学ぶことは何か。それは地面で相手と戦う方法を学ぶことではなく、
 
1.どうやって倒れるか(受身の取り方)
2.どうやって相手に有利なポジションを取らせないか
3.どうやって安全に立ち上がるか
 
です。倒されたとしても、極力ダメージを追わないように受身を取り、より不利なポジション(覆い被さられたり馬乗りになられること)にならないよう、蹴るなどして相手と距離をとり、隙をみて素早く立ち上がることです。最終目的は相手と寝技で戦い続けることではなく、できるだけ早く立ち上がり逃げることです。


1.倒れ方と受身を動画で確認↑


2.相手に有利なポジションを取らせない動き方を動画で確認↑

 
よく言われるクラヴマガのウィークポイントは寝技が豊富でないことですが、それはクラヴマガが地面に長くいないことを重視するからです。できるだけ早く立ち上がることがゴールですので、クラヴマガだけやっている人は、「極め」や「締め」などの寝技については柔術をやっている人に見劣ります。


3.立ち上がり方を動画で確認↑

 
ですが初心者を含め、前述した1.~3.に限っては、柔術の人たちと同じくらいの技術を身につけるべきです。倒れたときにその位置を守り、素早く立ち上がる能力は、本格的に寝技をやっている人に負けずとも劣らないレベルを目指すべきだと思います。
 
さらなる寝技を磨くことも重要ですがその前に、まずは前述した基本をしっかりと身につけることです。基本がしっかりしていれば、その後の寝技もスムーズに身につくでしょう。


↑この3つで危険から逃れた事件動画↑

代表的なパンチとキックが実戦で使えると思う誤解

パンチは実戦的か

パンチは素晴らしい打撃でどの格闘技でも最初に習いますが、実戦ではリスクの高い技の一つです。ストリートファイトではグローブはつけておらず、ターゲットもミットではなく、頭部やアゴなど非常に硬い表面です。
 
慣れていない人が実戦でパンチを打ったら、拳は簡単に壊れてしまい、その後、自分の手が使い物にならなくなるリスクがあるのです。
 
護身では「掌底打ち」をまず学ぶことをお勧めします。初心者にとってはこれがが現実的であり、十分効果的なダメージを与えるだけの威力があります。


掌底打ちを動画で確認↑

 
他にも、拳の腹の柔らかい部分で打つ「ハンマーパンチ」も有効です。怪我のリスクは低く、強烈な威力があります。「エルボー(肘打ち)」も拳より怪我のリスクが低く、大変パワフルです。


ハンマーパンチを動画で確認↑

 

ラウンドキックは実戦的か

次はキックについてです。
前蹴りや膝蹴りは護身で大変有効です。相手との距離に応じて使い分けることができ、また怪我のリスクも高くありません。

 
しかしラウンドキックはどうでしょう。キックボクシングの代表的なカッコいい技ですが、当てる場所は自分の「脛」です。何の防具も無しに脛を相手の肩い箇所に全力で当てたらどうなるでしょう。最悪、骨折です。脛の骨が折れば逃げることすらできません。

 
プロは相当な訓練をしているから生の脛で相手を蹴ることができますが、素人が真似るのは危険です。

プロ選手と同じように考えては危険

 
初心者はまずは前蹴りは膝蹴りを習得しましょう。

見た目を気にせず効果を優先

掌底の攻撃は見た目はビンタですので、あまりカッコよくありません。誰に目にもカッコいいのは拳のパンチです。

 
しかしそんなプライドは捨てて、護身で実用的な技術を選びましょう。ケガのリスクより実戦での確実な効果を優先しましょう。

まとめ

以上、クラヴマガの基本で大切なことをお伝えしました。
既成概念に惑わされずに自分のペースで着実に上達していきましょう。
 
基礎がしっかりしていれば、ほとんどの状況で自分を守ることができます。基礎がしっかりした人は負けません。基本はあなたを裏切りません!
 
 

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