護身術とは
2021.11.23
2018年、東海道新幹線の車内で犯人が女性を刃物で襲ったうえ、止めに入った男性一人を殺害した事件がありました。東海道新幹線車内殺傷事件 出典|Wikipedia
かつては無縁と思われていた凶悪な事件が皆に身近な新幹線で起きたことで、護身術への関心は急速に高まりました。事件後は、ナイフをもった犯人に出くわした時にどう対処したらいいのか、メディアからの取材や会員の方から多くの質問を頂きました。
その後も小田急線、京王線刺傷事件を中心に電車や駅でのトラブルも多数起きていることもあり、刃物に対する護身術への需要は高まっています。
目次
イスラエル軍で開発された護身術「クラヴマガ」にはナイフへの護身テクニックが数々ありますが、それを使えば無傷で逃れられるわけではありません。ナイフは殺傷能力が高く危険で、トレーニングを積んだエキスパートでさえも現実的には対応が困難です。テクニックを身につけたとしても、いざというときナイフから自分の身を守れる保証はどこにもありません。
万が一ナイフを持った人に出くわしたときは、とにかく逃げて下さい。少しでも遠くに離れて安全を確保し、すぐに警察に通報して下さい。人が公共の場でナイフを露出させていること自体が異常であり、関りを持つことは危険で無謀です。
しかし犯人が目前に迫って逃げ場が無かったり自分の家族が被害に合いそうな場合など、どうしても犯人に立ち向かう必要があるなら、まず盾として使えるものを探してください。カバンや椅子は盾として有効です。または長い棒状のもの(傘やゴルフクラブ、バットなど)は犯人との距離が取れるうえ、打撃を加える対抗手段にもなりえます。
そして単独行動をせず、周囲の人に協力を求めてください。一人より二人、二人より三人と協力者がいれば、状況が打開できる可能性が高まります。
ナイフを持った犯人から身を守ってくれる魔法のような護身術はこの世に存在しません。まずは関わらないことを最優先に、犯人と1対1で対峙しないために何ができるかを考え行動することが、現実的な護身術です。
これから扱うのは、それでもナイフを持った犯人に対峙してしまった場合の護身テクニックです。逃げ場も無く協力者もおらず、とっさに盾として探せるモノが周囲にない状況です。
そんな絶体絶命のときの最後の手段として、これから紹介するテクニックは存在します。しかし一度や二度練習をしたからといって実戦では到底使えません。では長期にわたって繰り返しトレーニングを重ねて身体に覚えこませたとしても、万が一の危険時に無傷でいられる保証はどこにもありません。ナイフに対する護身テクニックは、致命傷を避け、自分の命が助かる確率を少しでも上げるための最終手段であるとご理解ください。
そんな前提で以下のテクニックをご覧ください。
基本の構えであるパッシブスタンスをとります。両肘が下を向き、脇が開かないことを注意します。
敵がナイフでまっすぐ刺してくる場合、最もターゲットになりうるのは、胸を中心とした胴体部分が中心でしょう。
従って、前腕で顔を守るというよりもやや低く構え、ちょうどターゲットの胴体エリアを前腕でカバーするイメージです。両手の指先はまっすぐ伸ばし、両肘は地面を向くように構えます。
敵がまっすぐナイフを刺してきたら、自分の左手から上腕を使ってナイフの軌道をそらします。
左手首から前腕が敵の手の甲に触れたと同時に、左手首を鋭く内側へローテーションさせることでナイフを自分の身体からそらします。
足を使って前に飛び込むことで、左前腕はナイフを持った敵の手の甲から上腕にかけてスライドし、ナイフの軌道はターゲット(=自分の胴体)から更にそれます。
スライドさせた前腕に自分の体重をしっかりのせ、後ろに引くこと無く前へ飛び込みます。
敵の腕をキャッチし、自分の体重を上腕を通じて敵に乗せてコントロールしながらパンチを加えます。パンチを受けた敵がよろめき後退したとしても、自分のプレッシャーを敵に与え続けられるように前進します。
このとき左ひじは必ず地面に向け、自分の体重を敵にしっかり乗せます。
敵はナイフが一度刺さらなくても二度、三度と繰り返し刺してきたり、刃で切りつけてくる可能性があります。前進してプレッシャーを与え続けることで敵の自由を奪い、ナイフの連続攻撃を防ぎます。
パンチを打った右手を戻すやいなや、右手で敵のナイフを持つ拳をカバーします。(上から覆い被せます。)
重心はこの時も前よりで、敵の方向に体重がかかっていることが重要です。
守るべき人が自分以外にいないなら、ここでナイフを持った敵ごと遠くへ押して距離を作り、すぐ逃げるのが得策です。敵にダメージがあれば、すぐに追いかけることもできず逃げ切れる可能性があります。安全を確保したうえで通報して下さい。
しかし今回紹介している危険のシナリオは「逃げる空間が無い」状況です。走行中の電車内や閉所など、密室での犯行を想定しています。そんな中、ナイフが相手の手中にあっては、また同じことが繰り返さるため、ナイフの奪取は必要です。
以下にナイフの奪取方法をご紹介しますが、これもリスクが高い行為であることをご留意ください。興奮状態にある犯人からナイフを奪うのは大変難易度が高く、失敗すればまた切りつけられる可能性があります。実戦で使うには相当な繰り返しのトレーニングが必要であるという前提でご覧ください。
(1)左手で敵の右手首を掴んだまま、パンチを打った右手を戻し敵の右手の上に覆いかぶせます。
(2)左手を手前に引きながら右手を押すと敵の手首に痛みが走ります。(敵の手首を極めます。)
(3)腕だけではなく下半身から全身の力を使うと効果的です。
(4)手首を極められると敵は痛みからナイフを握り続けられず、もぎり取ることが可能です。
それでも敵が抵抗して奪えずもみ合いになると、その拍子でナイフが自分に刺さる可能性があるため危険です。
そこで奪取には執着せず、テイクダウンを優先します。
[テイクダウン方法]
(5)右足を軸にして回転しながら敵の腕を押し下げると、敵は手首が極められているので、痛みから地面に倒れます。
(6)腕を鋭く逆にねじり、左のスネからひざを相手の首にあててプレッシャーを与えます。
(7)完全に地面でコントロールされた状態であれば、敵は抵抗ができませんので、ナイフをもぎり取ります。
右手を押しながら左手を引くことで再度敵の手首を極め、そこから右手で相手の指を剥がしとるようにナイフを奪います。
その後の対応は状況によって異なりますが、まず大切なのは再びナイフを敵の手に渡らないようにすることです。
遠くに投げ捨てる、周囲に人がいればナイフを持ってもらったり遠ざけてもらうことが必要です。協力者が見つかれば、警察への通報をすぐにお願いしましょう
敵は、ナイフが奪われたからといっておとなしくなるとは限りません。丸腰でも激しく抵抗したり、更なる攻撃を加えてくる可能性がありますので、この段階で逃げることができないのであれば、さらなる対応が必要になります。
※それ以降の対応については割愛します。
いかがでしたでしょう。護身術クラヴマガのテクニックは合理的ですので、ご納得された方も多いかもしれません。
ただしあなたが本当にナイフへ対応できる力を高めたいのであれば、難易度がとても高いナイフの護身の知識だけで安心されるのは危険です。
マガジムでインストラクターから正しいトレーニングを受け、繰り返し練習されることを強くお勧めいたします。
初心者の方がいきなり難易度の高いナイフ対策クラスを受講しても消化不良になることが多く、お勧めしていません。
何事もまずは基礎が大事です。「KM1」では基本的な構えや打撃、護身の基礎をわかりやすく教えます。10回ほど参加すると基本技術や体力がついてきますので、まずはここから始めていただきます。
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技術だけつけても体力が無くては身を守れません。KM1と並行して以下のクラスで体力づくりします。健康的なカラダづくりや姿勢強制、ダイエットもできて一石二鳥です。
体幹筋トレクラス「Coreトレーニング」
打撃フィットネス「BAGワークアウト」
全身に効く「TRXトレーニング」
これらを週1~2ペースで3か月ほど続けると、多くの方は心身ともに変化してきたことに気づきます。
以上の過程で基本技術と体力がついてきたら、いよいよ「KM Weapon」クラスでナイフ対策護身術の実践です。
武器に対する護身が習える「KM Weapon」クラスでナイフに対する技術を繰り返し学びます。一度経験されるとわかりますが、相手が本気で襲ってきたときの難易度はかなりのものです。練習に終わりはなく、強いストレス下でも動けるよう身体が記憶するまで繰り返しトレーニングするのが大切です。
クラヴマガの中級レベルKM2や上級レベルKM3にもナイフ対策のカリキュラムが多数含まれます。
KM Weaponを受けつつ、それ以外の護身技術も幅広く学んでトレーニングを重ね、着実にレベルを上げることで、本当に使える護身の力が身につきます。
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ナイフに対する護身術の習得に少しでもご関心のある方は、まずはぜひこのクラスを体験ください。
KM Weaponは赤坂と六本木の2店舗ございます。
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マガジムは、1ヶ月に参加できるクラスに応じて、プランが異なります。入会金として、11,000円をいただいており、1ヶ月に5日間クラスに参加できる「ライト会員」では、男性13,500円(税抜)女性12,500円(税抜)となっております。
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六本木店・赤坂店いずれも受付ております。
最後に、以下は今回のシナリオを想定した動画です。
あわせてご参考下さい!
ナイフの護身に関する動画は多数掲載しておりますので、マガジムYouTubeチャンネルを是非チェックください。
マガジムでは護身の技術はもちろん、ジムの雰囲気や、自分にとっての最適なトレーニング方法などをインストラクターに直接聞くことができます。気になる方はぜひクラス体験にお越しください。